児童心理カウンセリング


学童期(児童)の悩み、問題にお応えします。

7歳~12歳の学童期は元気がいっぱいの時期です。
昔の子どもは外で陽が暮れるまで友達と遊び、夕ご飯を食べると宿題もしないで寝てしまったり、そんな日々でしたね。
私の児童期(1960年代)以前はそうだったと思います。
ところが私の子どもたちの時代(1980年代)以降は都内でも空き地がなくなり、放課後は塾や習い事へ通わせる家庭が増え、同時に夫婦共働き家庭も増え、子どもたちの遊び方も大きく変わってきました。
ゲーム機による遊びも流行し始めました。その影響で、子どもの発達にもさまざまな影響が出てきました。このように生まれ育った時代背景により人間は人格まで変わってしまうことがあります。だから教育はだいじなのですが、こころの教育はまだまだ遅れています。

たとえば、この時期の悩みは

ひとりっこ問題・・・きょうだい関係という人間関係を経験せずに育ちます。
きょうだい関係は親子関係から友達関係へ移行する橋渡しの役割を果たします。
ところがひとりっこはそれがないので大人とはうまくやれても子ども同士のつきあいが下手な子が多いといわれています。

きょうだい間のライバル意識、ほしいものを争い合うのは子どもの健全な発達に大切なものです。
そうした経験がないひとりっこは人との深いつきあいが苦手だったり、コミュニケーションがうまくとれないことも当然といえるでしょう。
それを補うにはできるだけ同年代の子どもと遊ばせたり、野球チーム、サッカーチームなどチームプレーを経験させるといいですね。
合宿やキャンプできょうだい感覚を覚えさせます。そのとき子どもの喧嘩や争いが起きても親は決して中に入らず口を出さないようにしてください。
大人のいない世界で本音でぶつかり合う経験をさせてください。
その経験がこころの成長にはとても大切なのです。

おとなになってから対人関係のご相談に来られるケースで、学童期のようすを伺うと、こうしたチームプレーや仲間と共になかを成し遂げる経験がないことに気づきます。
こうした経験、体験の良さは、自分と他者との「ちがい」を知るよいチャンスになることです。学童期に「いろんな考えの人がいるんだ、いてもいいんだ」と認識することで、頭の柔らかいうちに社会で生きるのに良い価値観がインプットされます。

これがあるのとないのとでは大きな差が生まれます。
なにもチームに入れと言っているわけではなく、どんなかたちでもいいので、自分と他人はちがうことを知って、ちがいを認め合うこころを育ててあげてください。
ちがっちゃいけないのではなくて、ちがいを認めたうえで、目的に合った考えはどっちを選択するのか、どれを優先するのか、など子どもに「考える力」をつけてあげたいのです。
やがて社会で生きていくために。

性格の発達と対人能力

また、この時期の課題として人格の基礎となる性格の発達があります。
性格は、持って生まれた気質といわれる部分と、家庭環境(母親の影響など)によって形成されていきます。生まれてから9歳、10歳ごろまでの親の刷り込みにより基盤ができ、のちの物事に対する考え方、受け止め方がずいぶんと変わってきます。

家庭環境による影響は本当に大きいものです。潜在意識に刷り込まれた思考の癖はおとなになってから変えようと思ってもなかなか変われません。
よく『変わりたくても変われない』というのはこの部分が変わりにくいからなのです。
親がネガティブだったり、心配性、見えない先の不安、恐怖、すぐ後悔する癖などがあると子どもも影響を受け、同じようなネガティブな考え方をするような傾向があります。
子どもの気質にもよりますが怖さ恐れに敏感な子どもほど影響を受けやすい傾向にあります。

また親がいつもイライラしている、怒りっぽい、怒鳴る、なども悪い影響を与え、虐待が次の世代にも虐待を生むように連鎖する傾向があります。
つまり親の接し方次第で子どもの性格は変わってしまうということです。

夫婦げんかも子どもの前でみせることはよくありません。
できるだけ、子どもの前ではやらないようにしましょう。あとで影響が出ます。
両親の情緒が安定していれば、子どもの情緒も安定しますが、親の夫婦仲が悪く親の情緒が不安定であると子どもの性格形成によくない影響を与えると言われています。
ある研究結果で、親が朝、なかなか身支度をはじめない子どもに向かって『早く顔を洗いなさい!』『早く着替えなさい!』『早く食べなさい!』『早くしなさい!』と早く、早くと子どもを駆り立てる態度を長期間とっていると、子どもはいつもイライラし、攻撃的な性格に育つというのです。 これでは対人関係もうまくいきませんね。
ある研究では、

  1. 支配的な親のもとに育った子は自主性が低く、依存心が強く温和な性格に育つ。
  2. 干渉し過ぎる(かまい過ぎる)親だと神経質で臆病な性格に育つ。
  3. 拒否的な親のもとでは反社会的で暴力的な性格に育つ。

といわれています。
(詫摩武俊氏らの研究による)

1.は、支配されることで抑圧され、怖くて自分が出せなくなります。言いたいことも言えない人に育ってしまう傾向があります。その分、言えないから人を頼る依存心が育ち、なんでも決められない人間、優柔不断な人間になる可能性があるのです。

2.は、「転ばぬ先の杖」で、まだ起こってもいないことへの不安、予期不安が大きくなり、なにかをやりたい、始めたいと思っても行動できない人間になる可能性があります。
怖いんです。失敗したらどうしようと思う思考の癖がつきやすいです。

3.は、いちいち子どもの言うことやることを否定するので、子どもは自分を理解してもらえない悲しさ、寂しさ、認めてもらえない悔しさなどを抱えながら大きくなります。
体力がついたところで暴力的な反抗にでることがあります。だれも初めから悪者はいません。
おとながどのように接するかで子どもの人格は変わってしまいます。恐ろしいです。
3はとくに注意が必要です。

悩みでいちばん多い「人間関係がうまく築けない」というのはこの時期からはじまっているかもしれません。
対人能力を育ててあげるには、親が上記1~3に気をつけ、親も積極的に対人交流をしてみせて、子どもに口を出さず自主性を伸ばしてあげることですね。
そうはいっても親自身も子どものころに1~3のような育てられ方をしているケースが多々あります。負の連鎖ですね。連鎖を断ち切るためにも親自身が変わることです。
親御さんの自分育て。育て直しプランもあります。
親自身もされてきたことで、知らなかったことばかりです。誰も悪くないのです。
ただ、知った日から、わかったときから未来をよくしていきましょう。
トレーニングは必要ですが、あなたも子どももよくなるトレーニングならやって良かったと思えます!

ポイントはほかにもたくさんあります。子育て談議したい方はお話しましょう。
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イラスト あさみめぐみ