俗にいう「不安遺伝子」とは?


俗にいう「不安遺伝子」というものがあります

日本人に多いとされています。

セロトニンという物質、これは神経細胞の末端部から放出され、次の神経細胞に受け取られていきます。余ったものが前の神経細胞に吸い込まれていきます。この吸い込むものを「セロトニントランスポーター」と言い、いわばリサイクルポンプです。これをたくさん持っている人と、中くらいの人と、あまり持っていない人がいます。その数は遺伝子で決まります。

この遺伝子に「S型」というのがあり、これを俗にいう不安遺伝子といいます。
これはセロトニントランスポーターを「少なく作れ」と指令する遺伝子です。
逆に「多く作れ」と指令するのは「L型」で、このSとLの組み合わせ(SSとSLとLL)でセロトニントランスポーターの数が決まってしまいます。

Sを2セット持っているSS型の人は、不安や不公平感を感じやすく、緊張しやすく、危機に直面すると焦ってパニックを起こしやすいようです。
(脳科学者 中野信子氏の発表より抜粋)

 

もし、あなたがこのタイプだったとしたら、・・・

1.自分でできること・・・不安は脳の反応だと理解して、いったん受け止めましょう! 誰も悪くないのです。 受け止めたら切り替えられるように、セルフトークを習慣づけていきましょう!安心を自分で与えましょう。

2.周囲の人ができること・・・この遺伝子を刺激しないように、助長させないように、気をつけましょう。マイナスの発言、否定的な言葉はやめましょう。安心できる環境をつくってあげましょう。いつも認める言葉、尊重する言葉、安心してもらえる言葉をかけましょう。

3.セロトニンの原料となる「トリプトファン」を摂取するようにしましょう。多く含む食べ物は、かつお、くろまぐろ、さんま、チーズ、落花生、ゴマ、パスタ、肉類ではレバー、赤身 1日100g程度

決して「こんな自分はダメだ」などと思わず、生まれ持つ性質を認め、受け入れて、じょうずにつき合っていきましょう!自分とつき合うつきあい方は当ルームにご相談ください。

そして、周囲の人も偏見をもたずに、みんな個性はちがいがあり、ちがって当然なんだ、と思ってください。

暑さや寒さを感じる感受性もちがうように、味覚の感受性もみんなちがうように、「怖い」と感じる感受性もみんな程度がちがうんです。ちがっていいんです。

そのちがいを認めて、寛容になりましょう! 柔軟になりましょう!

社会をよくする、社会を平和にする基礎は、この「ちがい」を認め合い尊重し合うところからなのです!

 

平和を維持するとは、個々のちがいをよく知ること、認め合うこと、その上で話し合うことです。

世界の平和も、社会の平和も、企業内の平和も、学校の平和も、家庭の平和も。同じです。

平和の反対の「争い」が起こる理由には、この「ちがい」に対する偏見から始まります。

人間は周囲と自分が同じであると感じると「安心」します。

同じことから「仲間意識」が生まれます。

仲間だと思えると、また安心します。

こうして人間は常に「安心」を求めています。常に身を守るために防衛本能が働くからです。

ところが、思春期(他者と自分を比較し始める時期)に、まわりがとても気になり、まわりと自分が少しちがうように思えると、急に自信をなくすことがあります。 ちがうことに不安になり怖さを感じてしまうのです。

ただ個人差がありますから、むしろ「ちがっていい!」みんなと同じじゃ面白くない、イヤだという人もいます。

このタイプは、おそらく不安やストレスに強いタイプでしょう。日本人では少ないタイプのようです。

話を戻します。

俗に言う不安遺伝子をもっているタイプは、ちがいに対して敏感で、「ちがうこと=いけないこと」と脳にインプットされているケースをよくみます。

子どもの頃からちがいに敏感で、なんとなく「ちがうこと=怖い」という反応(脳で)があるとします。 そこまでは反応ですから止められませんが、ここで環境が影響します。

まわりのおとな(親・養育者や教師)が、やはり怖さに敏感なもの(不安遺伝子)をもっているとしたら、ちがいを恐れているので、子どもを育てるときに、しつけのつもりで、『何しているの!ちがってはいけません!!』と叱ることがあります。

この言葉 『ちがってはいけません』 これが脳にインプットされて、「ちがうこと=いけないこと」になってしまうのです。

これを子どもの頃から繰り返し繰り返しインプットされていくと、おとなになった時に、観念として「ちがってはいけない」と、定着してしまうのです。 これこそ恐ろしいですね。

これが偏見(偏ったものの見方)のスタートです。

日本が軍国主義だった頃は、「右へ倣い(みぎへならい)」と言って、自分の右にいる者の真似をしろ!という意味で、人の考え、思考、思想をひとつに統一するために有無を言わさず真似をさせました。富国強兵のためでした。そんな時代があったのです。しかし、敗戦から人間は学び、現在の民主主義の時代に変わったわけです。

ある意味、この軍国主義時代のまとまりの良さは、日本人には不安遺伝子保有者が多いことから「ちがい=恐怖」にして、軍は人々を脅威で威圧し、人々の主体的で自主的な自由な思考を徹底的に抑圧していたのでしょうね。恐ろしいことです。

何が言いたいかというと、人間の脳の反応として感じたことでも、「ちがい=怖い=いけないこと=排除・排斥する」というようになってしまうことが、何より一番恐ろしいことで、社会を争いごとでいっぱいにしてしまうことなんだ、ということを私は伝えたいのです。

ゆえに、みなさんも身近な人と「ちがい」を感じたとしても、いきなり怒ったり(怒るのは相手に脅威を感じているから)しないで、まず、ゆっくりちがいを分析しましょう。

そして、「みんなちがうし、ちがってもいいんだよ」とこころの中で唱えてください。

そして、ちがいを理解して認めた上で、ゆっくり話し合いをしましょう。二人で話し合いが難しかったら専門家を介入させてください。感情的になって話し合いが困難になってしまうこともあるでしょう。そういう時は早めにご相談ください。

 

※育児参考 きくちみよこ著書「イキイキ人生をつくる しあわせ思考

 

※参考 生物学者からみた日本人の生きづらさの正体

 

また別の資料⇩

東洋経済より抜粋

セロトニンの分泌量を左右するのが、「セロトニントランスポーター遺伝子」です。
この遺伝子にはセロトニンの分泌量の少ない「S型」と、分泌量の多い「L型」の2種類があり、
その組み合わせによって、「SS型」「SL型」「LL型」の3つに分かれます。
SS型の遺伝子を持っている人は不安を感じやすい人、
LL型の遺伝子を持っている人は楽観的な人、
SL型はその中間ということになります。
不安を感じやすいかどうかは、ある程度、生まれつき決まっているのです。

調査によれば、日本人の遺伝子はSS型が65%を占めています。
SL型は32%、LL型はたった3.2%にすぎません。
一方、アメリカ人は、SS型が19%。SL型が49%、LL型が32%という結果が出ています。

つまり、日本人は不安を感じやすい民族なのです。
「もっと多くの財産があれば幸せなのに」と思う人が多いのは、日本人が強欲だからではなく、
心配症だからなのでしょう。

「老後2000万円問題」があれだけ論議を呼んだのも、そのせいでしょう。
マスコミが煽ったこともあって、心配性の日本人は冷静な判断ができなくなってしまった。

「なんとかなる」と考えられないのが、よくも悪くも日本人です。
では、なぜ日本人は心配性のSS型が多いのでしょうか。
いろいろな仮説を立てることが可能だと思いますが、1つの考え方は、災害の多さが関係
しているという説です。地震、津波、台風、火山など、日本は「災害大国」として知られています。
もし、「なんとかなる」と楽観的にかまえていたら、いざというときに対応することができません。
災害から自分や家族の身を守るために、日本人は不安遺伝子を育ててきたのです。
ただ、災害をある程度、事前に予測し、克服できるようになった今、
過剰な心配や不安は必要なものではなくなってきています。
むしろ幸せの足を引っ張るという弊害が目立っています。
遺伝子に刻まれた、生まれつきのこの性格を、変えることはできないのでしょうか。

学術的には、性格は大雑把に言って半分くらいは後天的に変わると考えられています。
人間には生まれつきの遺伝子を乗り越える力が備わっていることを、
忘れないでいただきたいと思います。