心理療法いろいろ – 内観療法


内観療法とは

内観療法は数少ない日本発祥の心理療法のひとつです。
創始者の吉本伊信(1916~1988)は浄土真宗の僧侶で修行法から宗教的属性を除いた独自の自己探求法として「内観法」を開発しました。

マインドフルネスの基礎の考え方のようなものです。

その考え方は、人が生まれてから現在に至る自分の歴史を徹底的に吟味することで 、大勢の人に支えられ、愛されてきたことや、自己中心的な考え方、主観的不幸感にとらわれていた自分を発見することを通して、素直さ、謙虚さを取り戻し、あるいは身に備え、他者への思いやりや感謝の念を表せる「新しい自分」になるという考え方に基づいています。

どのような場合に用いるかというと、自己中心的で被害者意識にとらわれている場合、 他者への怒りや不満、不和、不登校、非行、依存症、心身症など幅広い問題が対象となります。

それら他罰的な考え方に気づき、解放されること、そして他者や出来事を多角的かつ深く読む目をもち、理解し、他者に対する愛情、共感、信頼感をもつようになること、さらに自信や自己責任に目覚めることで、人生の意義を自ら発見し、生きる意欲に満ちて、こころの安定した自分を獲得することを目指しています。

方法

①1週間研修所で寝起きをして毎朝6時から21時までで、その間、1~2時間ごとに、指導者が各自の部屋を訪れ、1回3~5分の面接が、1日8~10回おこなわれる方法。
②日常生活のなかで短時間の内観をおこなう分散自己観察をおこなう方法。

この2パターンあります。
具体的な内観の手順はたとえば自分の母親や重要な人などの名前を紙に書いて壁に貼ったりして「お世話になったこと」「お返しできたこと」「迷惑かけたこと」の3点に関して幼少時から年代順に具体的な事実を調べます。

カウンセリングのなかで活用

他罰的な考え方(私は悪くない、あの人が悪い)を持ち続けていると何か出来事が起こるたびに他人にいつも怒り、イライラを感じて人を憎む癖がついてしまいます。
「敵対視」する癖です。

それは自分自身のからだに嫌な反応を起こし自分にも悪いことです。
そこでまず出来事(結果)を冷静に客観的に受け取る練習をして、相手を憎まず、現実のなかの事実を理解し、いまから先の自分に役立つように受け止めるこころの訓練をしていきます。
(当ルームのやり方です)