心理療法いろいろ – 論理療法


論理療法とは

論理療法の創始者アルバート・エリスはもともと精神分析者であり心理療法の専門家として伝統的な精神分析をおこなっていたが、知的洞察だけでは完治に不十分なことに気づき、クライアントの行動の変容には行動を左右するための言語(ことば)によるプラスのストロークであると考えました。

論理療法の理論は「人間は目で見える世界に住んでいるのではなく、目で見える世界をどう受け取っているかその受け取り方の世界に住んでいる」という考え方に立っています。

つまり、事実、出来事、ものごとをどのように捉えているか?
受け止めているか?です。

「感情=言語記述」気分(感情)が悪くなるのは現象(事実)に対する受け取り方をことばにしたときに不快感を起こさせるような受け取り方を自らしているからである。
という考え方をしています。

論理療法では人生の苦悩はイラショナル・ビリーフ(おかしな受け取り方)、つまり事実に基づかない前提、あるいは論理的必然性のない前提をこころのなかに秘めていることに起因すると考えられます。

たとえば、夫が妻にこう言いました。
夫「きょうの料理はおいしいね」
妻「なによ!じゃ、いつもはまずいって言いたいの!」
夫はただおいしいから、おいしいと事実を言っただけなのに、妻は歪んだ受け取り方をしてしまったのです。

そして、このおかしな前提は生まれてから後天的な経験の結果であるということです。
事例で言うと妻は今まで褒められたことがなく自分の料理に自信がなかったのです。
そのような後天的な背景があると、ものごとの捉え方や受け取りに歪みが生じます。

実際の技法としてはソクラテスの対話のように捉えてもらうとわかりやすい。

事実に基づかないおかしな受け取り方に対してカウンセラーは能動的に説得的対話を通して深く真理に触れ、後天的についてしまったイラショナル・ビリーフに気づかせ、事実に基づく論理的必然性のある受け取り方を伝えていく方法であります。