介護問題を考えよう!
老後(介助が必要になったとき)誰に看てもらいますか?
介護することは親孝行ですか?
親を看るのは当たり前と思っていますか?
自分の親は看てもいいけど、夫(妻)の親(舅・姑)は看たくないですか?
親を誰が看るか、また自分は誰に看てもらいたいか?
人生も中盤(40代~50代)にさしかかると、親の介護を考えるときがやってきますね。悩んでいる人も多いですよ。
いっしょに考えてみましょう!
ふだんから親子関係が良好で、親が介護状態になったらもちろん私が看たいです。というケースもありますね。
または、近くに居て仕事もしていない、看る時間もある・・・でも、老いていく親を看るのはつらくてできない。『お世話するなんて私には無理!』というケースもあります。
または結婚した相手と自分の親が仲が悪い、というケースもあります。
誰にでも親はいますし、自分に子どもがいれば自分の老後を考えたときに子どもを頼ってしまうことも決して少なくはありません。
息子より娘に頼ってしまうことも多くみられるケースですね。
親を看たくないわけではないけれど、環境がそういうわけにはいかない。看たい気持ちはあるけれど、仕事も辞めるわけにはいかない、子育てもまだ途中。そういうケースもありますね。
看られないこと、看ないことに「罪悪感」を抱いてこころが苦しくなっているケースもあります。
そんなときは、この言葉を思い出してくださいね。
『人間(子ども)は、3歳までに一生分の親孝行をしていますよ』
この言葉、聞いたことありますか?
放送作家でエッセイストの永六輔さんの名言になっています。
つづきは『赤ちゃんの可愛らしさとはそういうものです。それ以上の期待を子どもにしちゃあいけませんよ。』と永さんは言っています。
別の名言でも『子どもは3歳までに一生分の恩返しをしている』というのもあります。古くからいろいろな賢人が伝え続けてきたことでしょう。
看ることができなくても、あなたはじゅうぶん親孝行をしてきたので、罪悪感を抱くことはありませんよ。安心してくださいね。
その一方で
民法877条では「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務がある」とあります。自立できなくなった親を扶養するのは義務だと謳っています。
しかし、これは決して強制ではありません。未成熟な子どもを扶養する場合の義務は強制力がありますが、親を扶養する場合は子の生活水準により異なります。自分の生活や人生を犠牲にしてまで親を扶養することはありません。
法律は時代の流れとともに変化していきます。19世紀より20世紀、20世紀より21世紀と、遅れがちな日本でも社会福祉制度を推進しようという考え方が定着してきました。
ではなぜ、なんとなく罪悪感をもってしまうのでしょう?それは・・・
むかしの日本には家制度があったのです。
※(家制度(いえせいど)とは、1898年(明治31年)に制定された明治憲法下の民法において規定された日本の家族制度であり、親族関係を有する者のうち更に狭い範囲の者を、戸主(こしゅ)と家族として一つの家に属させ、戸主に家の統率権限を与えていた制度である。この規定が効力を有していたのは、1898年7月16日から1947年5月2日までの48年9か月半ほどの期間であった。)
これにより、親の言うことは聞くものだ!という権限を行使することで、子どもの人権を奪っていた時代がありました。
これは、裏返せば国の社会福祉制度が遅れていたからですね。本来なら国民の人権を守るのは国ですから、親も子も個々の人生を尊重する社会制度をつくることが国に求められます。しかし、制度が不十分だったため、育児も介護もそれぞれの親族関係の中でやってほしいということでした。
子どもへの依存
なぜ、親はそのような気持ち(心理)になってしまうのでしょうか?ひとことで言えば「不安」からです。生きていく上での二つの生活不安です。経済的不安と介護不安(身の回りの世話)です。
親自身が健康で働いているうちはいいのですが、年齢とともに身体が動きづらくなっていきます。健康を失い働けなくなるなど生活していく上で困窮したとしても、仕事を辞めても、十分生活できる経済力(資産など)がある、または年金額が多くある、そうしたケースでは問題ないのですが、預貯金など資産も少なく、厚生年金への加入がなく国民年金だけでは年金額も少なくじゅうぶんとは言えません。
健康と経済、両方の不安に苛まれると、その解消に子どもを頼ることが多いでしょう。民法で義務化されていることもあり、親の前の世代もそうだったから、という理由から「子が親を看るのは当然だ」と思ってしまうのでしょう。
しかし、頼られても子どもには子どもの世帯(家庭)がありますから困ることも多いでしょう。
親が子どもに期待し過ぎてしまう、子どもを頼り過ぎてしまう、もっと言えば、恩着せがましく『どんなことをしてでも親の面倒をみるのは当たり前だろ!』『育ててあげた恩を返せ!』など酷いケースもあります。
昔はよくあることでしたが、これでは、子どもの人生が誰のモノかわからなくなってしまいます。子どもの人生は子どものモノなのです!
ですから、経済的に余裕がない、世話をするには時間的に余裕がない、というように経済面も身の回りのお世話も余裕がなくてできない場合は、お住まいの管轄の市役所・区役所の福祉課・福祉事務所に行って相談しましょう。親世帯だけ生活支援を受けることもできます。
世間体を考えたり、親にどう思われるかを気にしても仕方ありません。自分の人生を犠牲にしてはいけません。決して無理をしないでいただきたいです。自分の生活や人生を大切にしましょう。
本当に子どもを愛する親は、子どもは3歳までに一生分の親孝行をしているという意味を知っているので、子どもには負担がかからないように頼ったりしないものです。その方が国の社会制度、生活保障制度も充実していきます。