夫からの離婚
~9月9日のNHK深読みから、さらに深堀り~
離婚と言うと、申し出は圧倒的に女性(妻)が多かったのですが、近年では男性(夫)からの申し出も全体の約30%と増えているようです。
背景にあるのは、男性の離婚に対する意識の変化。
ひとつには、中高年の独身男性の増加もあり、結婚していること(世帯を持っている)と、社会的信用との関係性が希薄になったことで、「社会で信頼されなくなるから結婚しておこう」という意識が変わり、独身でも信頼されるかされないかは自分次第という考えが定着してきたこと。
また、ひとつには、核家族が当たり前になり、「家制度」の崩壊も背景にあります。従来の家系を守るとか、家を継ぐ、嫁を取るといった感覚の結婚観から、二人が愛し合い求め合って結婚するという恋愛の延長上にある結婚観になったとも言えます。
また、ひとつには、男女共同参画社会になりつつある動きから、女性の発言力、自己主張力が高まり、女性(妻)の意思も尊重されるようになったことで、男性の言いなりにならない(当然のことですが)、男性から見ると「支配しにくい」対等な関係性が生まれたことも背景にあります。これは女性にとって良いことで、男尊女卑から人としてやっと尊重される存在になったことであり、大いに良い傾向なのですが、まだ男性の受け継いだ習慣が残っていて(祖父母や両親の関係を見ながら育っているから)、頭ではわかっていても感情(気持ち)がついていかないという現象が起こります。
こうしたことなどが背景にあり、「もう、やってられないよ!別れたい」と思う、不満を募らせる男性(夫)が増えているようです。
離婚までは至らなくても、夫婦関係が冷えてくると、ほかの女性に癒されたいと思い始めるのも男性(夫)です。もちろん女性もほかの男性に癒されたいと思うケースもありますが、女性は男性にうんざりして懲りてしまうと、男性以外の趣味や仕事に専念することが多いのですが、男性は脳のしくみが女性と異なるので、趣味や仕事とは別にいつでも女性に癒しを求めています。表面に出ていなくても潜在意識の中ではあるようです。
ですから、夫婦関係に嫌気がさしたり、家の中で居場所がなかったり、妻から文句を言われてばかりだったりすると、すっかり疲弊して、「もういいかな」と離婚を考えたり、離婚までいかなくても、妻とは別のところで癒してもらおう、そこでこころのバランスを保とうと思ったりしてしまうんですね。
そして、・・・
妻は夫のサインに気づかず、夫の思いは進行して、ある日、ちょっとしたもめ事、夫婦げんかから「じゃ、もう離婚しよう!」と夫から言い出すことになってしまいます。
では、なぜ妻は夫のサインを見逃してしまうのでしょう?
それは安心感。
男性でも女性でも「意中の人を振り向かせる」までは、とても頑張ります。つまり、恋愛中はお互いにとても誠実に相手に対しておもいやりを持って接します。人としても魅力的な人に見せたいからです。それが本来の自分であれば何も問題ないのですが、ところがそうでない場合、いったん「自分のもの」と思ったとたん、気が緩み、地が出ます。メッキがはがれるというか、うわべを繕っていたものがはがれてくるのです。それは、「この人はもうどこへも行かない」と安心してしまうからです。
安心、気の緩み、もともとの自分。夫からすれば「こんなはずじゃなかった!」 (もちろん逆のケースも多いのですが)今回は男性(夫)の視点で離婚や夫婦関係を捉えているので、これを読んで「男の方がそうよ!釣った魚に餌はやらないとか、急にぶっきらぼうになった、急にやさしくなくなった、恋愛中と結婚後ではすご~くちがいますよ!」と思っている女性も多いでしょう。
そうですよね。
それはまた後で書きますね。
話を戻しますと、そうした理由から夫の不満は膨らみ、ほかの女性へ逃げるか、自由になりたいと離婚を申し出る結果となるのです。
初期の夫の出すサインとしては、
1.帰りが遅くなる。
2.携帯、スマホをいつも持っている。手放さない。トイレも風呂も。
3.話しかけなくなる。あいさつをしない。聞く耳をもたない。
これは浮気や不倫のときの行動パターンといっしょですね。妻を避けている証拠です。こころをオープンにしていない。閉ざしています。予防するにはどうしたらいいでしょう?
本当は、向き合ってほしい。
私が常々ご相談の中でお話ししているのは、お互いに「向き合ってほしい」ということなのです。
小さな不満を感じたら、自分の素直な気持ちを相手(妻)に誠実に伝えてほしいのです。
ところが・・・
向き合い方がわからない!どう話していいかわからない!すぐにけんかになる!妻が怖い。という男性が多いです。
なので、いちばん良いのは、ご夫婦の双方に「対話のルール」を知っていただき、「その考え方や意識の持ち方」などを学んでいただきまして、健全な平和な対話の仕方を身につけていただきたいと願っているところです。
学校でも家でも教えてもらっていないから、みんな誰でも知らないだけなのです!
学校の先生も知らない方が多いです。
お母さんもお父さんもおばあちゃんもおじいちゃんも知らない人が多いです。
知らないことを教わるときに、人間には抵抗が起こることがあります。
人にもよりますが、抵抗の大きい人は「自分を否定された」と受け取ってしまうことがあります。それは、これまで自分が当たり前と思って使ってきた言葉や態度などは習慣化されていますので、「それが自分だ!」とセルフイメージを固定してしまっているからなのです。
そこを柔軟に寛容にトレーニングに取り組んでいただけると、すばらしいコミュニケーション能力の持ち主になれることでしょう。
個人差がありますから、トレーニングにかかる時間はその人次第ということになります。
具体的な方法は、またあとで。