血液型性格診断は根拠がない しかしまだ信じている人がいる


血液型性格診断は根拠がない

みなさんもご存知だと思いますが、血液型と性格は関係がありません。それを伝えてくれるのは、東京大学 認知神経科学・実験心理学 四本裕子先生 

日経ビジネス記事より一部抜粋

「駒場の1年生の心理学の講義で、最初にやるんですよ。
血液型性格判断がいかに正しくないか、科学的じゃないか。
でも、結構な数の子があれでショックを受けちゃうんですよね。
今まで信じてましたって。
でも、サイエンスとしての心理学の講義をとる以上、
そこのところはちゃんとしてほしいです。
血液型性格判断は、もう100パーセント非科学的なんですけど、
ただ、血液型性格判断を信じてしまう人の心理っていうのは、
おもしろい研究対象ではありますね」

 

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著者:妹尾武治(九州大学大学院 デザイン人間科学部門 知覚心理学講座 准教授)

心理学者をしていると年に何度か「血液型診断」についてよく質問される。
血液型診断とは、血液型のタイプであるA, B, AB, Oの4パターンごとに典型的な性格特性が
あるという言説のことである。
はじめに結論を言ってしまえば、血液型診断を支持するような科学的なデータは一切無く、
血液型診断は全くもって根拠の無いエセ科学である。
日本における、血液型診断のルーツは1927年古川竹二によって発表された論文に端を発する。
古川は心理学研究という「心理学の学術誌」に『血液型による気質の研究』という
タイトルの論文を発表した。しかしながら、この論文はその後「科学的な根拠が無い」
として1933年に、日本法医学会によって正式な否定宣言が出されている。
戦後に巻き起こった血液型診断のブームの火付け役となったのは、能見正比古が1971年に
著した「血液型でわかる相性」という本である。
しかし、能見正比古の主張も、ベースとした古川の主張とほとんど同じレベルのものであり、
統計に基づいた数学的に正しい分析ではなく、思い込みを記載しただけの「エセ科学」
としか言えないものであった。
松井豊によって行われた、1980年代の 4 回の調査で、合計 12,418名分の血液型と性格特性に
関する調査データが取得された。
このデータを総合して、1991年に松井本人が『血液型による性格の相違に関する統計的検討』
というタイトルの論文を発表した。
その結果、血液型と特定の性格特性の間の因果関係や相関関係は一切見つからなかった。
これほどまでに大規模な調査が1980年代には既に行われており、血液型診断が科学的に否定されているのである。

世界でも繰り返し否定的なデータが報告されている。
特に2000年以降は、全世界的に血液型が性格となんらかの関係があるという仮説が繰り返し、
様々な国で否定され続けている。
具体的には、カナダ(Cramer & Imaike, 2002)、台湾(Wu, Lindsted & Lee, 2005)、
オーストラリア(Rogers & Glendon, 2003)での大規模調査において、血液型と性格の相関関係は
否定されている。
縄田健吾は、2000年以降に集められた血液型と性格に関するデータを日本とアメリカから1万件を
越えるデータを集めた。解析の結果、性格特性の質問への回答得点が血液型のタイプによって、
大きく異なる傾向になることは全くなかった。
縄田はさらに、仮に血液型で無理矢理にでも、得られた性格の得点を説明した場合に、その得点の
振る舞いを何%ほど説明する事が可能であるか?という疑問に対して、統計の手法から回答を試みた。
その結果、血液型で得られたデータが、性格を説明出来る割合は、わずか0.3 %にしか満たなかった。
つまり、完全に両者は無関係であったのだ。
「関係が無い事を証明する」ことは「関係がある事」を証明するよりもずっと難しい。
と言うより、科学的には不可能なのである。
血液型と性格の因果関係が「無い事」も同じく証明が出来ない。
科学的に出来ることは、現状で集められる限りに集めたデータでは、血液型と性格にはなんら
因果関係がなかったということが“暫定的に”指摘出来る、という態度だけなのだ。
この科学の特性故に、血液型診断はいつまで経っても、100 %否定されるということは無いのである。このあたりも、日本人の血液型診断信仰が絶えない理由の一つである。
このように日本人は血液型診断について、その科学的な経緯をなにも知らないのに、
ただただ闇雲にそれを「なんとなく正しい」と信じている。
これはもはや宗教である。もともと民族的なバリエーションが極めて少なく、戦後差別なども
水面下に押しやり見えづらくし、「一億総中流」として、高い均一性を誇って来た日本社会。
「他者と違う」ということをなんら悪びれることなく話題に出来る「遊び」として、
血液型診断が使われたのではないだろうか?
この辺りにも、世界的に見て、日本だけで特別に血液型診断が何度も繰り返し大ブームに
なって来た原因があるのではないだろうか?心理学と社会学の接点がここに見出せそうだ。

 

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未だに宴席や懇談の席で『おれはA型だから見た目よりもずっと真面目なんだぞ』と言ったり、『こう見えて私O型だからおおざっぱなのよ』とか、『やっぱり、あの人自分勝手で自己中心的、B型だかた仕方ないか』などと言う会話を耳にします。このページを読んだ人からそういう誤った知識は口にしないようにしましょう。知人友人にも教えてあげてくださいね。

 

人格は生まれ持つ気質と育った環境や時代背景にあるモノとものごころついてからの自分自身の意味付け、判断、思い込みや決めつけなどで成り立っています。一概に言えないのが人格です。

人(自分、他者)を知るときには、かかわり、対話によるコミュニケーションから相手や自分をよく知ることよく理解することがだいじです。