行動療法とは
行動療法には
①古典的条件づけに基づいたものと
②オペラント条件づけに基づくもの
とがあります。
①古典的条件づけを基礎とするものの1つに系統的脱感作法というもにがあります。
それは刺激に対する反応が段階的に敏感でなくなる という意味のものです。
たとえば、高所恐怖の場合、高所という刺激に対して、人は「怖い」と感じたときに、怖いは「不快」を感じますが、同時に「快感」を催すような刺激を与えると、恐怖という「不快」な反応が「快」という心地よい反応に変わるのではないかという理屈であります。
では、快を催す刺激に何があるかというと現在用いられているのは自律訓練法であります。
自律神経系の副交感神経を刺激して、恐怖や緊張をほぐし鎮める方法です。
(※合わせてセルフコントロール法をご覧ください)
ビルの屋上が怖くて立てない場合、まず1階から自律訓練法を使ってイメージします。
イメージのなかで恐怖を感じなくなれば、実際に1階に立ってみます。
(※合わせてリラックス脳の活用 イメージ療法をご覧ください)
次に2階のイメージ、そして実際に2階に立つ。 次に3階、4階、5階・・・
このように順を追って刺激に慣れていきます。
ほかに恐怖・緊張・不安を克服する方法として集団的脱感作、主張訓練、性的反応、情動心像法などを用いる方法があります。
②オペラント条件づけに基づくものには、強化、回避、消去の三原理の応用があり、たとえば強化法、 行動の変容を促すために意図的に報酬(刺激)を与えることを必要とする方法です。
いやいや学校へ行った子どもに「よく行ったね」と褒めて、好きなものを食べさせるようなことです。ただこれは、あまり好ましいやり方ではありません。
それは、好物を食べたいために学校に行くというのでは、本来の学校へ行く目的から離れてしまう「外発的動機づけ」というものになります。
この外発的動機づけは、かんたんに言うと「馬にニンジン」で、馬を走らせる手段として目の前にニンジンをぶらさげて、馬がニンジン欲しさに仕方なく走る。という手法です。
この手法を人間に使うと、本当の目的を見失い、継続できないことが多くなります。
子どもの場合、自分はどうしたいという主体性が育たなかったり、自主性、勤勉性も育ちにくくなります。
たとえば、お母さんが「100点取ったらおもちゃ買ってあげる」と子どもに言います。
すると、子どもは「おもちゃを手に入れたい」という目先の目的のために100点取ろうと頑張ります。一見よさそうに見えますが、これを外発的動機づけと言って、子どもが何も欲しくなくなったとき、欲しいおもちゃがなくなったときに、やる気を失います。
勉強しなくなるわけです。
本来であれば、勉強はなんのためにするか? 親がきちんと理解して説明できれば、子どもも納得するでしょう。「勉強は将来、あなたがなりたい人になろうと思ったときに必要だから、いま脳がやわらかいうちに、記憶に残りやすいうちに、多くの知識を身につけておくことが、あなたのためにも社会のためにも良いことだからよ」こんなふうに子どもに教えてあげられればいいわけです。
つまり、子どもの内側から「やりたい」と湧き起る意欲を促すしつけが望ましいしつけなのです。
これが子どもの内発的動機づけになり、主体性、自主性、自律性、勤勉性が育ちやすい方法なのです。
しかし、お母さんもお父さんも学校の先生も前述の外発的動機づけで育っていたらどうでしょう? 誰もよい方法を教えてあげることはできないことになってしまいます。
ですから、連鎖を断ち切って、よい考え方の連鎖をつないで きましょう。
● ほかに思考停止法、嫌悪療法、消去法などがあります。
また、認知行動カウンセリングでは、治療的色彩が濃い①②の行動療法に対して、教育的色彩が濃いものであります。
具体的にはカウンセリング的な対話の結果、理論を理解していただき行動目標をつくり、低い目標からじょじょに行動に移してもらう方法などをいいます。